松永佳伸
70年以上にわたり、名古屋鉄道の車両にこだわって模型づくりを続ける男性が愛知県小牧市にいる。名古屋模型鉄道クラブの足立健一さん(81)。実物の45分の1スケールで図面を引き、車体や内装、車輪など細部まで本物そっくりに仕上げた模型はまさに職人技。昨年1月、肺がんが見つかったが、今も制作意欲が衰えることはない。
名古屋市東区生まれ。10歳の時、同市中区大須の模型店で父から名鉄3550系の模型キットを買ってもらったのがきっかけ。店の人から「真鍮(しんちゅう)だから子どもがつくるのは難しいよ」と言われたが、簡単につくってしまった。
足立さんは大の鉄道ファンで「乗り鉄」でも「撮り鉄」でもある。「模型だけじゃなく本物も好きなので新型車両にも必ず乗ります」。少年時代は名鉄・須ケ口駅へよく行き、試運転をしている電車などを写真に収め、それを元に模型づくりをするようになった。
最初の頃は市販のキットを使うこともあったが、縮尺を自分で計算し、図面を引き、展開図を書くところから始めるのが足立流。独学で技術を身に付け、紙や真鍮でボディーをつくり、車輪や内装、パンタグラフなども忠実に再現してレールの上を走らせてきた。部品から手作りするのは珍しいという。
高校卒業後、6年ほどの修業を…