猫の妖怪、まるでキャッツ? 芸妓ら演じる「空想劇」

有料記事京都花街マガジン

佐藤秀男

 京都の「ゆるキャラ」は目立たない。こう言うと怒られるだろうか。

 京都府庁のマスコットは「まゆまろ」だし、京都府警には「ポリスまろん」や「ポリスみやこ」がいる。しかしどれも、全国区の人気を誇り、府民の誰もが知るキャラクターとは言いがたい。

 なぜか。京都には花街(かがい)があり、そこに舞妓(まいこ)がいるから。京都は世界中の観光客から注目を浴びる千年の都。「舞妓さん」ほど古都を象徴する存在としてキャラが確立され、観光やイベントのPR役としてふさわしい存在は他にない――。

 記者は常々そう感じていたが、花街・宮川町で今月16日まで開催された「京おどり」(http://www.miyagawacho.jp/kyoodor.html別ウインドウで開きます)を見て、舞妓や芸妓(げいこ)の際立つ存在感を改めて思わずにはいられなかった。

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 すっきりとした白木の外観の建物が続く宮川筋。その中ほどにある宮川町歌舞練場(京都市東山区)を訪ねると、開場前の入り口に人だかりができていた。色とりどりの着物をまとった10人近い舞妓たちを囲み、即席の撮影会があちこちで始まっている。

 3月30日。この日は2日後に開幕する京おどりの舞台でもある歌舞練場で、市内の小中学生と親を招いた「キッズ花街勉強会」があった。京おどりのPRも兼ね、ふだん花街と縁遠い子どもたちに、舞妓らの素顔や伝統伎芸(ぎげい)の一端を知ってもらおうと、宮川町のお茶屋組合や京都市、地元の有志が企画。4年前に始まった。今年は350人の募集に420人超の申し込みがあり、急きょ2階席を開放した。

 参加者に配られたパンフレットで、舞妓は「その外見の華やかさと可愛らしさから京都を代表するマスコット的存在です」と紹介されていた。

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 子どもたちにとっては、あこがれの舞妓やその舞を間近で見るチャンス。舞妓さんになろうと思ったきっかけは? 髪の長さはどれぐらい? 髪が乱れたときはどう直すの? 好きな京ことばは?

 事前に募った質問を司会者が次々たずね、舞台に上がった6人の舞妓が答えていった。さらに、抽選で選ばれた女子中学生2人が舞妓姿に変身して登壇。代表的なお座敷遊び「とらとら」を体験した。

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 本物の舞妓らと即席の舞妓姿…

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