大企業やめて報酬ゼロ生活 たどり着いた「土なしトマト」

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 神奈川県平塚市の田園地帯。どこにでもありそうなビニールハウス。でも中に入ると、あるはずのものが、ない。土がない。土はなくとも、トマトは真っ赤に実っていた。

 土の代わりにトマトが根を張っていたのは、特殊なフィルムだ。このフィルムを使った「土なし農法」は日本のベンチャー企業が発明し、約130カ国で特許を取った。中東の砂漠地帯でも使われているという。

 この農法の発明者で、ベンチャー企業「メビオール」会長の森有一さん(77)に会った。もともとは大手化学メーカーの研究職だったが、40代後半から二転三転、奇想天外の「カイシャ人生」を送ることになったという。限りある人生で成功するには何が必要なのか。組織で悩んだらどう折り合いをつけたらいいのか――。葛藤の末にたどりついたある「答え」を、森さんは語ってくれた。

彫刻家の父が教えてくれたこと

 のちに世界を驚かせることになる森さんの発明の原点は、中学時代にあった。

 東京都内の自宅のアトリエで…

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