【アーカイブ】生きる、光と音のない生 「私って何」問いながら 目と耳の力失った女子大生

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石橋英昭
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【2012年12月25日朝刊社会面】

 荒美有紀(あらみゆき)さん(24)は、フルートが得意で東方神起が好きな、東京の大学生だった。体中の神経に腫瘍(しゅよう)ができる難病、神経線維腫症2型を発症、一昨年秋に聴力を、昨年春には視力を失った。一切の光と音を奪われた孤独。彼女に出あって考えた。人の強さとは、きずなとは、なんだろう。

 24日、荒さんは、同じ盲ろう者が集まるクリスマスパーティーの会場にいた。退院して半年、荒さんはすでに人生を前へと歩き始めていた。

 目が見えず耳も聞こえない盲ろう者に情報を伝える手段の一つ、指点字を、驚くほどの速さで習得した。点字変換ができる情報端末も、すぐ使いこなした。

 今春、明治学院大仏文科の4年に復学。大学近くに越してきた家族と暮らし始め、抗がん剤治療を受けながら講義に通う。卒論は来年、挑戦する。

 盲ろう者の多くは社会に出るすべを知らず、家に引きこもっている。そうした人たちを、勇気づける存在になりたい。そんな目標も口にした。

一人で歩けない、ポンコツみたい

 でも彼女がつづるブログに時々出てくる、こんな記述が気になった。

 《そもそも生きるって、自分って、なんだろう?

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 誰かのお供がなければ外を歩…

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