ふるさと納税、返礼品は「碧南紳士 坂本くん」

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小西正人
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 愛知県碧南市ふるさと納税返礼品に、奇妙な商品がある。ブレンド米「碧南紳士 坂本くん」だ。「坂本くん」とは、広報担当の市職員、坂本直敏さん(35)のこと。どうやら坂本さんのイメージをブレンド米で表現したらしい。なぜ、このような商品が生まれたのか? 注文はあるのか?

 パッケージには坂本さんの似顔絵とともに、「粘りを抑え、歯応え楽しむ硬派な男米(オトコマイ)」とある。返礼品として提供しているのは、市内の「おくや米店」。父親と店を営む奥谷健太さん(33)は、卓越した米の専門知識とブレンド技術を認められた「五ツ星お米マイスター」の資格を持つ。店内にはジャズが流れ、オリジナルのブレンド米を売り物に常連客中心に商いをしている。

 2人の出会いは昨年6月。ふるさと納税返礼品の提供者を探していた坂本さんが、独自のブレンド技術を売りにする奥谷さんなら協力を得られそうだ、と店を訪れた。市職員らしくない長髪で、一見軽く見える坂本さんの「熱さ」に、奥谷さんは驚いた。「ほかの市職員とは違う。この人の言葉にはうそが無い」

アパレル業界から転職

 坂本さんは、アパレル業界の営業から市職員に転じた異色の経歴の持ち主だ。「派手な業界で給料もよかったけど、気持ちが満たされなくて。もっと人のために働きたくなって市職員になりました」。座右の銘は「直感を信じる」。

 市の知名度アップと、地場産業の活性化を願う坂本さんの思いに応えようと、奥谷さんは知恵を絞った。8月の夜、坂本さんにメールが届く。「神が下りてきた(思いついた)。あなたをブレンド米で商品化したい」。そんな内容だった。数日後には、奥谷さん自らが描いた坂本さんの似顔絵をあしらったパッケージが出来上がっていた。

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