複製画描き続けた「中国のゴッホ」 本物見てこぼれた涙

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宮嶋加菜子
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10万枚を超す複製画で「中国のゴッホ」と呼ばれる 趙小勇さん(47)

 中国・深圳に複製画づくりが主産業の「油画村(ユーホワツン)」と呼ばれる一角がある。そこで「中国のゴッホ」と呼ばれる腕っこきの画工は、何を思うのか。

 「ひまわり」に「自画像」に。20年間で手がけたゴッホの複製画は10万枚を超え、「中国のゴッホ」と呼ばれる。

 中国内陸部・湖南省出身。貧しくて中学までしか通えず、20歳のころ仕事を求めて広東省深圳へ。陶器工場に職を得て絵付けを担当し、市内の絵画工房に引き抜かれた。約1万人の画工が働き、海外の土産物店などに納める複製画制作が主産業の「油画村(ユーホワツン)」と呼ばれる一角にある工房だった。

 見よう見まねで油絵を覚え、1998年からゴッホの作品を描き始めた。結婚して家庭を持ったばかり。美術雑誌を見ながら、寝る間も惜しんで絵筆を握った。

 売れっ子画工になり、日本からの客も増えたが、描くほどに悩むようになった。「これは芸術品なのか工業製品なのか。複製画なのかニセ物なのか」。眠れない。

 答えを求めて2014年、オ…

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