なぜNZはラグビーが強い? 200年前の窮地を訪ねた

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(みちのものがたり)ハカのみち ニュージーランド ラグビー最強の源泉へ

 カ・マテ! カ・オラ!

 約200年前のニュージーランド北島。先住民マオリの集団同士の争いで、窮地に立った首長が作ったマオリ語の歌詞である。日本語だと「私は死ぬ! 私は生きる!」。

 黒ずくめのユニホームのラグビー・ニュージーランド代表は「オールブラックス」の愛称をもつ。試合直前、この歌詞を叫びながらマオリ伝統の踊り「ハカ」を見せる。三角の陣形を敷き、腰を落として手で太ももをたたく。舌を出すのは相手への侮辱ではなく、威嚇だ。1905年のイングランドとの試合で始めたという。「カ・マテ!」が「がんばって!」と聞こえる日本人もいる。

 同国の人口は約480万人。ラグビーの競技人口(協会登録)は日本の2倍近くの約16万人で、歴史、誇り、体格差、技と、オールブラックスが世界ランキング1位の座にあり続ける理由はいくつも挙げられそうだが、この歌詞を作った首長の「窮地」を訪ねれば、もう一つの強さの源泉がわかるかもしれない。

 記者は取材協力者が運転する車で北島の街ロトルアを発った。南南西へ約150キロ先のロトアイラ湖が目的地だ。国道5号に信号はほとんどなく、見渡す限りの牧草地だ。牛の群れが草をはむ。樹林帯を切り開き、利益を生む酪農業を始めたのは近年。すれ違うタンクローリーが満載する牛乳は中国に輸出される。車中、協力者がそう言った。

 出発前、ロトルアに拠点を置…

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