PTA「免除の儀式」は嫌 家の事情告白、泣き出す親も

【動画】PTAの役員選びをめぐる「免除の儀式」について話す保護者=長富由希子撮影

 学校のPTAの役員を「免除」してもらうためには、「病気や離婚といった家庭の事情を他の親の前で言わないといけない。おかしくないでしょうか」という投稿が、読者の疑問や困りごとを募って取材する「#ニュース4U」取材班に寄せられた。SNSにはこうした親の声が相次ぐ。記者が投稿をした母親に会いに出かけた。

闘病中・離婚…「できない理由」語る

 「『免除の儀式』が、今年も始まった」。西日本のある小学校の教室。投稿をくれた母親は、春の授業参観後、暗い気持ちでほかの親とともに教室内に座る。

 息子が入学してから、毎春の参観後に、クラスの親が教室に残されることが恒例になっている。PTAの新年度の役員を、くじで決めるためだ。

 司会は前年度の役員。役員ができない人は、くじ引きの前に他の親の前で「できない理由」を話す。「闘病中で体調が不安定」。「離婚して、私が働かないと生活ができない」。途中で泣き出す親もいる。

 説明が終わると、他の保護者は顔を伏せるように言われる。「免除してもよいと思う人は手を挙げてください」。目の前の人を免除すれば、他の保護者が役員に「当たる」確率があがる。出産直後で「『孤』育て」中という母親の免除希望は、「否決」された。ここで知った各家庭の「家庭の事情」について口止めはない。「教室を一歩でたら、『こんな人がおったで』と、うわさがぱーっとまわるんです」

初めて知った「加入は義務でない」

 女性は昨年、ネット検索でPTAの加入は親の義務ではないと初めて知った。「義務だと思い込んでいた。だから、義務を『免除』してもらうために家庭の事情を言わされるのはある程度は仕方ないのかな、と思っていた。家庭の事情を言わされている人は、そもそも加入は義務ではないと知らされているのだろうか」

離婚や病気など言いたくない家庭の事情を、クラスの他の親全員の前で言わされることに、法的な問題はないのでしょうか。プライバシー権に詳しい弁護士に話を聞きました。PTA改革に成功した中学校の事例も紹介します。

 共働きなうえ、自分も病気で…

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