霊峰・白山のふもと「言語島」 じげ弁の話し手を尋ねて

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文・井上秀樹 写真・外山俊樹
【動画】「じげ弁(白峰弁)が一番上手」といわれる山田喜一さん=井上秀樹、外山俊樹撮影
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 「ひこもろら、ぎららのうちらは、男がおらなんだろ、そやさかい、柴(しば)ひろて来たり、炭ひろて来たり、こながれもぎららしずやらでかいのひろえんじゃが、ほそいような、ほえ燃やしたり、そすっとすぐ燃えてしもて」

 加藤スエさん(80)の幼いころの思い出だ。何となくわかったような、ベールに包まれているような……。

 山田喜一さん(85)に教わった。「ぎら」は私、「ほえ」は枝の先。「こながれ」は川に流れてきたものを指す。これは、前後から何とか類推できそうだ。

 では、「ひこもろ」と「しず」は? 前者は加藤家の屋号、後者はスエさんの姉の名前だった。

 ここは石川県の白峰(しらみね)。岐阜との県境にそびえる霊峰・白山のふもと。老人会「白峰寿会」で話を聞いている。

 言語学では、周囲と異なる言語を話す地域を、言語島(げんごとう)と呼ぶ。周辺との交流が絶えていたり、大量の移住者がいたりすることで生まれる。その一つが旧白峰村だ。

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 40年近く研究してきた金沢…

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