(時紀行:時の余話)東京の店たたみ島へ、ぜいたくとは

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久保田侑暉
【動画】精錬所の操業停止から100年 美術館に生まれ変わった巨大な遺構=久保田侑暉撮影
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 精錬所跡地が美術館となり、年間2万人以上が訪れる犬島。かつて数千人が住んでいた島の人口はいまや50人以下。今回の取材では、島へ移住を決めた人たちにも話を聞いた。

 犬島の港から歩いて約10分の位置に「犬島くらしの植物園」がある。約4500平方メートルの土地を利用した植物園には柵や壁がなく、どこからでも出入りできる。黄色い花を咲かすゴールデンクラッカーや、白みがかったピンクの花を揺らすガウラなどが植物園を彩る。その間を名古屋コーチンとウコッケイが自由に走り回り、時には卵を産み落とす。花壇や温室を備えた通常の植物園のイメージとはかけ離れている。

 この植物園を管理する橋詰敦夫さん(60)は、東京からの移住者だ。もともとは、品川区に店舗を構え、結婚式の装花やフラワーアレンジメント、造園などを手がけていた。犬島でのアートプロジェクトで、庭の植栽を担当したことをきっかけに島に通うようになった。

 「訪れた人が単に観賞するだけでなく、種をまいたり、雑草を摘んだりして一緒に庭を造るような植物園ができるのではないか」。そんな思いを抱き、東京の店をたたんで2016年に犬島へ移り住んだ。そして、できたのが犬島くらしの植物園だ。

 犬島には最新の設備が整って…

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