「私も中学に通いたい」30年後、1枚だけあったチラシ

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堤恭太
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 埼玉県内初の公立夜間中学となる川口市立芝西中学校陽春分校が16日に開校する。外国籍不登校の人たちの受け皿として期待されているが、元々夜間中学は戦中戦後の混乱期に様々な事情から義務教育を満足に受けられなかった人たちのための学校だ。「もう一度きちんと勉強したい」。そんな夢がかなう高齢の新入生たちがいる。

 蕨市の堀川しず子さんは86歳。1期生の最高齢だ。

 1933(昭和8)年、旧与野町(現さいたま市中央区)の出身。戦時中は小学生だったが、工場で働かされた。47年に新制中学ができたが、食うにも困っていた時代。高等小学校で終えて14歳から働きに出た。

 学校で勉強をした記憶は、ほとんどない。食堂や居酒屋で働いた。東京に公立夜間中学があるのを知り「通って勉強したい」と思ったが、余裕はなかった。

 昭和も終わろうとした頃、中学時代は不登校で、既に働いていた次男が「学び直しをしたい」と東京の公立夜間中学に通い始めた。授業参観に行くと、外国人も高齢者もいて、楽しそうに勉強している。

 「私も通いたい」

 再びその思いがこみ上げてきたが、埼玉には公立夜間中学がなかった。

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 それから30年近くがたった…

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