時紀行
香川県三豊市仁尾町にある父母ケ浜(ちちぶがはま)。地元の人も夏以外は訪れなかったような小さな海岸に、一昨年から突然、絶えず多くの観光客が訪れるようになった。その理由は「インスタ映え」。ここで撮影できる写真が、南米ボリビアのウユニ塩湖で撮れる幻想的な構図にそっくりだと、SNSで話題になったからだ。
1月下旬、午後5時過ぎ。香川県三豊市仁尾町の父母ケ浜(ちちぶがはま)に、国内外の観光客100人以上が訪れた。構えるカメラやスマートフォンで狙うのは、条件を満たすと現れる「瀬戸内海の天空の鏡」だ。
全長1キロ程度で遠浅の父母ケ浜には、干潮時に広大な干潟が出現する。所々にできる潮だまり越しに、低い位置でカメラを構えて人や風景を撮影すると、まるで鏡のように被写体が潮だまりに映り込む。地平線を境に上下対称になる幻想的な構図が「天空の鏡」として有名な南米ボリビアのウユニ塩湖そっくりだと、一昨年からインスタグラムなどのSNSで話題に。日に数人しか来なかった海岸に、昨年は26万人以上が訪れた。
市観光交流局の石井紫(ゆかり)さん(37)によると、撮影の条件は、干潮と日没時刻が重なり、風がなく水面が波立たないこと。条件に合う日没の前後30分間が「マジックアワー」で、インスタ映えする絶景がスマホで簡単に撮影できる。
兵庫県篠山市の看護師荻野彩香さん(24)は、インスタで父母ケ浜の写真を見て、この日、友人と駆けつけた。「今まで見たことない景色。百点を超える写真が撮れました」
来訪者を魅了する海岸。その陰に、四半世紀にわたって環境を守ってきた住民の努力があった。
強い風が吹く朝の父母ケ浜(…
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