会社はガンダムではなくジムばかり 常見陽平さん「だから可能性が」

有料記事カイシャで生きる

古屋聡一
[PR]

 新入社員のとき、仕事に行き詰まり、気づいた。自分には「何かを成し遂げたい」という強い衝動はあっても、実はやりたいことは何もないことを。15年のカイシャ人生を経て、「本当にやりたいこと」にたどり着いた。

     ◇

 情報誌の編集をやりたいと思っていたのに、配属されたのは営業だった。

 千葉商科大専任講師の常見陽平さん(44)は大学卒業後の1997年、リクルートに入社した。ファクスを使って新製品情報などを一斉送信するサービスを企業に売り込む部署に配属された。

 全く希望していない部署だった。配属先の希望を聞かれた面談では「何かをつくり出したい」「仕事を通して、社会を変えたい」と人事担当者に訴えた。

 常見さんは一対一で人と話したり、じっくりと相手の話を聞いたりすることが苦手だった。営業に向いているとは思えない。思うにまかせない組織の人事に、落ち込んだ。

 リクルートに入社したのは実力主義の社風と聞いていたし、「面白い人が多い」と思ったからだ。

 「うちの会社をどう思う?」と聞く役員に「うさんくさいと思いました」「起業したいので3年で辞めます」などと答えたが、内定が出た。「本当に生意気な学生でした」と常見さん。

 働いてみて、「実力」の意味がわかった。それは「サービスを売った数字によって人材評価が決まる」というシンプルな価値観だった。

 今振り返ると、当時の営業の仕事ぶりはすさまじかった。常見さんはサービスを売るために、1日5~6社を訪ねた。並行して企画書や見積書の作成も行う。

 夕方に会社で電話をしている…

この記事は有料記事です。残り2299文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら