リストラ指揮、ローン抱える仲間に促す退職 自分も辞めたその先に

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古屋聡一
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 仲間に早期退職を促す。そんなつらいリストラを指揮したパイオニアの子会社の元役員は、自らも会社を辞め、退職した社員たちとメーカーを起業。オーディオ機器を世に送り出している。「開拓者」精神を受け継いで。

 「パイオニア 3千人削減へ」。12月上旬、オーディオメーカー、スペック社長の石見周三さん(66)は経営不振が続くパイオニアが香港ファンド完全子会社になるというニュースを知って、悲しい気持ちになった。

 「復活を願ってきたが、リストラか……」。10年前のことを思い出した。

 2009年2月。パイオニアはプラズマテレビ事業から撤退し、正社員と非正規社員あわせて1万人を削減するリストラ計画を発表した。

 石見さんは、パイオニアの販売子会社の取締役営業本部長として、リストラを指揮した。全国各地の拠点を訪ね、早期退職の募集に応じるように促していた。

 「自分の将来についてどう考えていますか」と尋ねると、顔見知りの社員は「やめたくないです」と泣きながら答えた。「俺も定年まで勤めて花束をもらってやめるものだと思っていた。こんなことになって本当に申しわけない」

 子どもが幼い社員、住宅ロー…

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