社長が愛人と逃げて会社破産 母親に借りた200万円で海外起業

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深圳=益満雄一郎
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 「力を貸していただけないでしょうか」

 中国南部、広東省深圳。藤岡淳一さん(42)は、祈るような気持ちで中国語の手紙をしたためていた。5年ほど前のことだ。

 ファクスの送信先は、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の会長室。会長は大物経営者として知られる郭台銘(テリーゴウ)氏だ。

 藤岡さんは2011年、電子機器を受託製造する「創世訊聯科技(ジェネシス)」をたった1人で立ち上げた。資金は、母親から借りたわずか200万円。

 かつて香港系ベンチャーで勤務していたときの取引先だった日本の流通大手イオンから、格安のスマートフォンの調達先を決める入札の話が舞い込んだ。受けたくても、イオンが求める数万台規模の大量生産はできない。代わりに製造を請け負ってくれるメーカーを探す必要があった。

 友人に相談すると、「小細工はやめて、思い切って大物に頼んだほうがいい」。友人はiPhone(アイフォーン)を受託生産する世界的メーカーである鴻海の会長室のファクス番号を教えてくれた。

 手紙では、郭会長と同じ「たたき上げ」であることを強調した。熱意は実り、郭会長から「面倒を見ろ」との指示を受けた幹部から快諾の返事をもらった。

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