なぜ科学の祭典に「闇の顔」 太陽の塔、映画監督が語る

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聞き手・宮崎勇作
【動画】大阪万博について語る映画監督の関根光才さん=宮崎勇作撮影
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関根光才(せきね・こうさい)さん 映画監督

 今年9月から大阪などで上映しているドキュメンタリー映画「太陽の塔」を監督しました。当時の映像とインタビューを織り交ぜ、塔の制作者の故岡本太郎も出てきます。みんなが経済成長という同じ方向を向いていた1970年、岡本がなぜ大阪万博の会場にあの塔を建てたのか。謎解きをしたかったのです。

 実は初めて「太陽の塔」の実物を見たのは、2010年ごろ。裏側に回ると、塔の背面いっぱいに黒々と描かれた「黒い太陽」がありました。驚いた。科学の祭典で家族連れも多い中、なぜ闇の顔をわざわざ見せつけたのでしょうか。

 映画づくりを通して見えてきたのは、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げた大阪万博に対し、「人類は進歩なんてしていない」という岡本の主張。岡本は「科学は人間を幸せにしてくれるのか」という疑問を強烈に抱いていました。

 当時も今も、東京中心にみんな同じ方向を向き、すべてが同じ色に塗り替えられていると思います。その中で政府が大阪に2025年万博を誘致しようとするなら、新たな価値を生み出さないと意味がありません。万博をテコに景気を良くするとか、単に大阪万博をもう一度やりたいとかいうのは、無意味です。

 今、大きなイベントが価値観…

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