絵本「だるまさん」10周年、急逝した作者が残した思い
だるまを知らない赤ちゃんも、キャッキャッと笑う――。子どもに初めて見せるファーストブックとして人気の絵本「だるまさん」シリーズが、発刊10周年を迎えました。作者のかがくいひろしさん(享年54)は、養護学校の先生として障害のある子どもたちに向き合い、50歳を過ぎてのデビューでした。支持され続けているシリーズの魅力と、かがくいさんが作品に込めた思いを探りました。
ほのぼのとした画風で描かれた「だるまさん」が、奇想天外な動きや表情をみせて、読む人を笑顔にしてくれる――。そんな「だるまさん」シリーズの出版元「ブロンズ新社」(東京)で今夏、10周年記念の原画展が開かれ、訪れた約1200人の親子がたくさんのメッセージを残した。
「かがくいさんの絵本のあたたかさが大好きです」(30代主婦)
「少し言葉の遅い息子が、保育士さんから『て』と『め』を言えますよ、と教えられてびっくり。本を通じて、色々な表情をする息子を発見できました」(30代看護師)
担当編集者だった沖本敦子さん(40)によると、読み聞かせの場などで根強い支持を得ているといい、「10年たつ今も、感想などが書かれた『読者カード』は途切れることがない」と沖本さん。絵本・児童書情報サイト「絵本ナビ」の磯崎園子編集長は「読み聞かせると子どもが笑ってくれるから、大人もうれしくなる。それを感じて、また子どもがうれしくなって笑う。幸せの連鎖が起きる良書」と話す。
シリーズが時を経ても大勢の親子の心をとらえ続けている一方、作者のかがくいひろし(本名・加岳井広)さんは、シリーズ3作目を刊行した直後の2009年に膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった。どんな歩みを経て、この作品を描き上げたのか。
かがくいさんは1955年に…
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