(ナガサキノート)被爆直後、忘れられない静けさ

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田中瞳子・25歳
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片岡仁志さん(1936年生まれ)

 《声ひとつない静けさ。誰も叫んだり泣いたりしませんでした。本当にあんな静けさがあるんですかね》

 片岡仁志(かたおかひとし)さん(82)は私に「その瞬間」のことを、そう語った。「原爆」と「静けさ」――。私は、その二つの言葉を結びつけることができなかった。

 片岡さんは9歳のとき、爆心地から約1・8キロにある長崎市本原町2丁目(今の辻町)の自宅で被爆した。「原爆そのものについては知らないんです。覚えているのは一瞬の強い光だけです」。そして、少し時間が経って意識を戻した時のことを、こう表現した。「阿鼻叫喚(あびきょうかん)もない、忘れられない静けさ」

 カトリックの司祭として、長…

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