301年ぶりに再建された奈良・興福寺の中金堂(ちゅうこんどう)に、僧侶が生涯に一度だけ挑むことができる「竪義(りゅうぎ)」と呼ばれる口頭試問の際に座ることで知られる「論議台(ろんぎだい)」が新たにつくられ、7日に営まれた落慶法要で披露された。法要は11日まで続くが、最終日に多川俊映(たがわしゅんえい)貫首(かんす)(71)らが座し、経典の解釈をめぐって討論する。今後は本尊の左右に置かれ、竪義ではなく、儀式の際に使われる予定だ。
寺が中金堂の再建に合わせ、興福寺で千年以上継続してきた口頭試問を象徴する論議台一対を新たにつくることを決め、奈良市の塗師(ぬし)、樽井宏幸さん(44)に漆塗りを依頼。台座と4本の柱、屋根などで構成され、高さは約3・8メートル。下地として茶色の漆を8~9回、その表面に黒漆を3回塗り重ねた。
法相宗(ほっそうしゅう)の竪義は、11月の宗祖・慈恩(じおん)大師の命日法要「慈恩会(じおんね)」に仮講堂で行われてきた。興福寺の場合、受験資格者は入山10年を経た僧侶に限られる。受験者は竪義の前に21日間の参籠(さんろう)生活に入り、畳1枚分の「加行(けぎょう)部屋」にこもって漢文の問答を暗記する。試験では論議台の一方に受験者が、もう一方に試験官役の貫首(住職)が座り、僧侶が抑揚をつけて数々の難問に答える。
かつて竪義はほかに二つの重…
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