大坂の快挙で「日本人初」を連呼、モヤモヤを抱く人たち

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荻原千明
【動画】「日本人」について語る俳優・タレントの副島淳さん=北村玲奈撮影
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 女子テニスの大坂なおみ選手(20)=日清食品=が全米オープンに続き、東レ・パンパシフィック・オープンで決勝に進出した。人気が高まり、テレビも連日取り上げている。快進撃を喜びつつ、応援や報道で「日本」や「日本人」が多用されることに違和感を抱く人たちがいる。

 23日の決勝で大坂選手は敗れたが、表彰式では「試合を見に来てくれてありがとうございます」と述べ、懸命に笑顔を見せた。

 会場には連日、大勢のファンが詰めかけていた。メッセージボードは大坂選手への応援で埋まり、「日本の誇り」という言葉もあった。22日に観戦した東京都東大和市の男性会社員(47)は、「彼女のしぐさやコメントは、日本人より日本人らしいし、応援しないわけにいかない。親近感がわく」と話した。

 大坂選手は父がハイチ出身で、母が日本人。全米オープンで優勝してから、メディアやSNSでは「日本人初の快挙」「日本の新しいビッグスターを応援しましょう」という言葉が躍る。だが、俳優・タレントの副島淳さん(34)は行きつけの居酒屋である男性が「正直、日本人初で優勝するなら、本当の日本人の方が……」と話すのを聞いて、さびしさを覚えた。男性は「100%日本人」という言葉も交え、手放しでは喜べない思いを語ったという。

 「そう考える人は多いだろう」と副島さんは思う。自分の父親は米国人だが、顔も知らない。日本人の母のもと、日本で育った。小学生のころは「色が違う」と仲間外れにされ、「ダメなことなのかな」と思った。中学生になると「日サロ(日焼けサロン)に行き過ぎちゃって」とギャグで返すスキルが「身についちゃった」。

 早稲田大生の岩澤直美さん(23)は大坂選手の活躍を「うれしいニュース」と思いながらも、「日本人初」という盛り上がり方にモヤモヤを覚える。父が日本人で、母がチェコ人。両親は、「日本でも欧米でもポピュラーな名前」である「ナオミ」と付けたという。旧約聖書「ルツ記」に登場する女性の名前だ。

 モヤモヤの根にあるのは、普段の自分の体験とのズレだ。生後間もなくから大半を日本で暮らし、国籍は日本。しぐさや表情などから、海外では「日本人」として扱われ、自身もそのように考えている。

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 でも、日本で「何人?」と問…

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