帝王切開に「あの痛み知らないんだ」分娩自慢したママ友

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松川希実
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 「産み方」が選べるようになり、都会や大病院を中心に無痛分娩(ぶんべん)を選ぶ人も珍しくない。一方で、「腹を痛めてこそ」といった価値観の前で、「きちんと産めなかった」と自分を責めてしまう女性もいる。

 「私、ずるいのかな?」

無痛分娩で昨年、長男を出産した千葉県柏市の女性(30)は出産ぎりぎりまで自問自答していた。出産準備を進めるにつれ、よく言われる「鼻からスイカを出す痛み」に自分が耐えられるか、恐怖に悩まされるようになった。入院先の病院で無痛分娩を行っているのを知り、妊娠8カ月で同意書を出した。

 一方で、「みんなが普通にやっているのに、ちゃんと産んでいることになるんだろうか」と罪悪感にとらわれるようにもなった。迷いは出産当日まで続いた。

 無痛分娩は、背中からカテーテル(チューブ)を入れ、神経に近いところに薬を入れて、痛みをやわらげる。破水し、カテーテルを入れてもらったが、「とりあえず」のつもりで、麻酔するかは決めていなかった。しかし、陣痛の間隔が短く、強くなってきたとき、「これ以上」を想像して恐怖でパニックになりそうだった。「もう無理」。麻酔を始めるようお願いすると、途端に体が冷えるように痛みが引いた。「助かった」と思った。

 女性は「無痛分娩という『保険』があったからこそ、安心して産めた」と振り返る。今は子育てと仕事の両立に四苦八苦の毎日で、「妊娠中も、出産後もこんなに大変。以前の自分に『ずるくなんかない』と言ってあげたい」

 厚生労働省の調査によると、2014年~16年の日本の無痛分娩実施率は5・3%ほど。都市部の病院を中心にだんだん増えているが、4割のアメリカや6割のフランスと比べるとまだ少ない。友人や家族に経験者が少ないため、無痛分娩を選んだ人が心ない言葉で傷つくこともあるという。

 無痛分娩に限らず、産み方は、その後も折に触れて話題になり、女性たちを苦しめることがある。

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