リアルさ追求、魅惑の鉄博 虫の衝突・車窓風景も再現

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細沢礼輝

 全国で鉄道博物館が花盛りだ。最新シミュレーターによる運転士体験や現役人気車両の展示など、JRや私鉄各社が力を入れる。人口が減っていく中、「鉄道ファン」を増やしたいとの思いがある。

 JR東日本の「鉄道博物館」(さいたま市大宮区)は5月、開館(2007年10月)以来の来館者数が1千万人に達した。7月には4階建ての新館がオープンし、本館と合わせた総展示面積は1・3倍の約1万3500平方メートルになった。

 新たな展示で力を入れているのは「体感」だ。時速320キロの運転を体験できる新幹線「E5系」シミュレーターは、速度が上がるにつれ、前面ガラスに虫が衝突した跡がポツポツと表れてくる。リアルさを感じてもらおうと、運転台からの実写映像を使った。様々な職種の鉄道マンになりきってもらうため、車輪をハンマーでたたいてボルトの緩みを見つけたり、線路の幅のずれを測ったりするコーナーもある。

【動画】メディア向けに公開された鉄道博物館の新館=6月26日、藤原伸雄撮影

 本館展示の貴重な車両も、体感型にリニューアルされた。昭和初期のローカル線「キハ41300形」は、かつて走行していた小海線の沿線風景の映像を車窓越しに流し、乗車気分を味わえるようにした。東北新幹線「200系」は、備え付けの拡張現実(AR)スコープを車両に向けると、雪の中を走り出す映像を楽しめるようになった。

 博物館営業部の奥原哲志課長は「この10年間で映像技術が飛躍的に発展し、こうした展示が可能となった。リアルな体感を通じて、鉄道の魅力を知ってもらいたい」と話す。

■現役車両をじっくり…

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