「精子がない」泣きながら妻に謝った 離婚、そして再婚

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福地慶太郎
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 技術の進歩で、不妊治療出生前診断が身近になっています。不妊治療を通して突きつけられた現実を前に、悩みながらも前に進もうとする一人の男性に聞きます。

 中部地方に住む会社員の男性(36)は2015年夏、精液検査を受けた。病院に行った妻から結果を聞き、ショックで頭が真っ白になった。「精子がまったくいなかったみたい」

 前年の秋に結婚した。子どもは授からず、同い年の妻は不妊治療ができる病院に通い始めた。妻の体に問題はなかった。妊娠しやすい時期に性交する「タイミング法」を3カ月ほど試したがうまくいかず、男性側の問題がないか検査したのだった。

 男性は、精液に精子がいない「無精子症」の存在さえ知らなかった。その後、何度か検査を受けたが、結果は同じだった。

 精子を探し出す手術を受けることを決め、手術までの約3カ月は生活を変えた。専門家の書いた本を読み、精巣の温度が上がると精子がうまくつくれなくなると知り、風呂につからずシャワーだけにした。妻も栄養素を意識して料理を作ってくれた。

 精子をとり出せたら、顕微鏡で見ながら卵子に注入する「顕微授精」をすると二人で決めていた。妻は「あなたの次は私が頑張るから」と、寄り添ってくれた。

 秋、地元から離れた大学病院…

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