「閣僚に関するため」公開請求、文書ごと漏らす 金融庁
野田聖子総務相の事務所による金融庁への説明要求に関し、朝日新聞が同庁に情報公開請求した内容が漏れていた問題で、同庁は24日、取材に対して、請求者に関する情報を含めて開示決定前に総務省に伝えた、と認めた。同庁幹部である審議官も了解のうえで、開示決定通知書などを事前に渡していたという。「閣僚の一人に関する請求で報道される可能性が高いため、共有しておいたほうがいいと判断した」としている。
また、野田氏は同日の閣議後会見で、伝え聞いた内容を第三者に漏らしていたことを正式に認め、「慎重さに欠けたと反省している」と謝罪した。
情報公開制度を所管し、請求内容の漏出防止を指導する総務省のトップが自ら漏らしていたことに加え、金融庁が閣僚に関するものであることを理由に他省庁に決定通知書まで渡していたことが明らかになり、制度の信頼性が大きく揺らぐことになった。
朝日新聞は今年5月2日、金融庁に対し、野田氏の事務所が違法性を指摘されている会社の関係者を同席させ、同庁の担当者に説明をさせた際の面会記録の開示を求めた。金融庁は5月31日付で開示決定通知を出し、6月6日に開示文書の写しを交付した。
金融庁の説明によると、同庁の情報公開担当者は開示決定前の5月23日、総務省に出向き、大臣室の職員に請求内容などが書かれた開示決定通知書や、開示する方針の面会に関する記録を手渡したという。請求者名は黒塗りで隠したが、口頭で朝日新聞の記者であることを伝えた、としている。こうした手続きは、国会担当の審議官も了解したという。
野田氏によると、23日のうちに開示請求の内容と請求者が朝日新聞であることを聞いたという。野田氏は5月下旬、複数のメディアとの懇親会の場で、自身の事務所に絡んで朝日新聞が金融庁に情報公開請求をしている、と漏らした。
金融庁は取材に「請求者の情報を伝えたことは反省している。今後、情報公開法の適切な運用に努めたい」とした。野田氏は閣議後会見で「(金融庁からの情報伝達は)不適切だった。(自分が知った時点で)注意喚起するなどの対応を取るべきだった」とし、「自分が記者との懇親会で問題意識を持たず、話題としてしまったのは慎重さに欠けたと反省している」などと述べた。(沢伸也、角拓哉、長谷文)