この体を「脱ぐ」日が来るまで(小原篤のアニマゲ丼)

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 累計2千万部を超すバレエマンガの金字塔「SWAN―白鳥―」が、連載開始から42年を経てこの6月にめでたく完結を迎えたので、作者の有吉京子さんにインタビューしてきました。バレエの好きな少女・聖真澄が、パートナーとなるレオンらとの出会いを通じて成長し、舞踊芸術の高みを目指す大河ドラマ。高校生の時からいかに私がこのマンガを愛してきたかは2008年6月9日の本欄「『受験の敵』をオトナ買いして『生涯の友』に」で書きましたが、その作者有吉さんにお会いして「SWAN」のお話を聞けるとは。人生なにがあるか分かりません。

 最初に少女漫画誌に連載したのは1976~81年。デビューから5年の有吉さんが、編集者の反対を押しきって10週の予定で始めたところ、読者の支持を集め5年の長期連載に。真澄がコンクールや公演を通じて国内外のライバルと切磋琢磨(せっさたくま)し、重圧や挫折を乗り越えていくドラマには、群像劇としての厚みもあり、登場する演目もクラシックからモダンまで多種多彩。卓越した画力と繊細美麗なタッチで「瞬間の芸術」を描ききりました。

 連載は、真澄がレオンとドイツへ旅立つ場面で終わります。真澄が舞踊生命をかけボリショイ劇場の新作「アグリー・ダック」に客演し、「失敗」と評され打ちのめされますが、舞台の上でつかみかけた自己の芸術を信じ、手を差し伸べてくれたレオンと歩み出す、というラスト。初めて読んだ時から私は、未来に向かって開かれた終わり方で「カッコいい!」と思っているのですが、続編が描かれてこうして「完結」を迎えた今となると、「じゃああの時どうしてここで終えたのか?」と疑問が湧きました。まずはそのお話から。

 「描き始めたのは20代で…

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