「悪魔が」その声は本当か 女性劇団員殺害めぐる攻防

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長谷文
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 東京都中野区で劇団員の女性(当時25)が見ず知らずの男に後をつけられ、自宅で殺害された事件。殺人罪などに問われた被告の男(39)は幻聴が聞こえ、突発的に殺害した、と主張。刑を軽くするよう求めた。裁判員が男に下した判決は。

 東京地裁で2月16日に開かれた初公判。黒色のジャケットを羽織った被告は、背中を丸め、おずおずと法廷に現れた。裁判長から証言台に立つよう促されると、女性の殺害は認めたが、殺害したのは幻聴によるものだ、と訴えた。小さな声だった。

 起訴状によると、被告は2015年8月25日午前0時50分ごろ、東京都中野区の路上で、帰宅途中だった女性の後をつけ、自宅マンションに侵入。女性に抵抗されたため、扇風機のコードで首を絞めて殺害したなどとされる。

 公判などから事件をたどる。

 被告は福島県の高校を卒業後、1997年に上京。不動産会社などで働いていた。だが、「給料が少なすぎて、まわらない」と仕事を辞めて、東京都中野区の自宅を引き払い、実家に戻ることを決意。事件前日の8月24日は、引っ越し作業をしていた。

 一方、被害者の女性は大学卒業後、宮城県から上京。出版社などで働いた後、役者になる夢をかなえようと劇団に入り、アルバイトで生計をたてていた。

 女性は8月24日夜、女子会に参加。25日未明にコンビニに立ち寄り、自宅へ向かった。2人の家の距離は直線で数百メートル。深夜、路上で被害女性を見かけた男は女性の後をつけた。面識はなかった。女性はマンションの2階の部屋に一人暮らし。被告は「LINEのIDを交換したいと思った」と主張した。

 被告がいつ女性に声をかけたのか。犯行時刻をめぐり、検察側と弁護側の主張は対立した。

 弁護側は、被告は女性が部屋に入るときに声をかけたと主張した。

 被告人質問。

 弁護人「被害女性を見かけた時、どう思ったのですか」

 被告「福島の地元に戻る前に、友人の一人として東京とのつながりになって欲しくて声をかけようと思いました」

 弁護人「女性宅の前で声をかけたら何が起きましたか」

 被告「短く『わっ』と言われました。ドアに挟まる感じで尻餅をついて、後ずさるようにして部屋の中に入りました」

 被告は、女性を目にしてから…

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