(京の隠れ里に住んで)神社再建、新たな物語の始まり

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福野聡子
【動画】2013年の台風で倒壊した大見の思子淵神社が元住民やボランティアの力で再建され、魂入れ式が行われた=福野聡子撮影
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 京都市最北端にある山里・左京区久多(くた)。今回は同じ左京区で鯖(さば)街道(京都―若狭)ルートにあり、今は「無住」地区になっている大原大見町での出来事をお伝えします。大見集落では、2013年9月の台風で、思子淵(しこぶち)神社の社殿が倒壊。再建を目指す元住民に、集落の再生を目指す「大見新村プロジェクト」(http://oomi-shinson.net/別ウインドウで開きます)のメンバーたちが協力し、4年半ぶりに社殿を再建しました。

13年の台風で倒壊

 三千院で知られる大原から車で約40分、標高600メートルの高地にある大見集落。昔は「鞍馬炭」の生産が盛んでしたが、炭の需要減などで1973年ごろに集団離村。常時住んでいる人は見られず、元住民らが週末などに畑仕事に訪れている状態です。

 大見や久多を含む安曇川水系流域(京都市北部・滋賀)は、都の木材供給地として発展。奥山から木材を運ぶ「筏(いかだ)流し」の神(しこぶちさん)をまつったとされる「シコブチ」神社が点在しています。

 大見の思子淵神社は集落から少し離れた、うっそうとした林の中にあり、大見川がうねりながら境内に流れこんでいます。社殿へは小さな木の橋を渡ってお参りします。自然が作る「結界」に守られ、雰囲気のある神社ですが、川が湾曲している場所だけに、13年の台風では社殿がもろに被害を受けました。

 社殿再建の中心となったのは、元住民の藤井義昭さん(64)。境内は幼い頃の遊び場で、15歳で大見を離れた後も、初詣に訪れてきたそうです。昔は鞍馬の火祭り(由岐神社)の種火を境内から運んでいた、と父親から聞いたことも。ただ、社殿再建はあまりに大変と思われ、1人でできるのかと思いあぐねていました。

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 そこに協力を申し出たのが…

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