太田康夫
小尻知博記者(当時29)ら2人が殺傷された朝日新聞阪神支局襲撃事件から5月3日で31年。私たちの社会でいま、表現の自由はどうなっているのか。様々な分野で表現に携わる人たちに思いを聞いた。
「この場所での物品の販売、宣伝活動、ビラ・チラシの配布等の行為を禁止します」。駅前などに設置されたそんな看板が今年に入り、神奈川県内各地で相次いで消えた。きっかけはあるパフォーマンスだった。
2016年2月、県中央部にある海老名市の駅近くの自由通路。黒い衣装の約10人が現れてポーズを決めた。しばらくすると、移動して、また静止する。「マネキンフラッシュモブ」と呼ばれるパフォーマンスだ。掲げたプラカードに「アベ政治を許さない」「自由なうちに声を上げよう」などと書かれていた。
通路での集会やデモを禁じる条例に違反するとして、市は参加した市議に今後こうした行為をしないよう命じた。「おかしいと思ったことを表現しただけなのに」。パフォーマンスをした団体の共同代表の朝倉優子さん(54)は憤った。
15年秋からSNSなどで集ま…