映写機引き取って 65年前に住民出資、元映画館解体へ

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臼井昭仁
【動画】近く解体される元映画館の足助劇場=臼井昭仁撮影
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 江戸~明治期の建物が数多く残る愛知県豊田市足助町の「古い町並み」には、昭和20年代に建てられた元映画館がある。半世紀前に閉館した後は倉庫として使われていたが老朽化が著しく、近く解体される。館内には映写機や映画のポスターなどが残されており、所有者は引き取り手を募っている。

 足助劇場。古い町並みを貫く通りから外れた住宅密集地にある。木造平屋建てで広さは約500平方メートル。外壁はモルタルでできている。所有者で、コンクリート会社長平野雅人さん(50)は「詳しい歴史は知られていないが、お年寄りたちから懐かしがる話をよく聞かされてきたので解体するのは本当に忍びない」。

 市や住民などによると、地元住民が共同出資して1952(昭和27)年ごろに開館した。定員は276人。主に邦画を上映していて、有名な俳優が訪れ、芝居を披露したこともあったという。近くに住む浦野良美さん(86)は「映画が全盛期だったころは立ち見客が出るほどにぎわっていた」と振り返る。

 経営難から60年代末に閉館。建材店を経営していた平野さんの親が引き取り、倉庫として使っていた。平野さんが後を継いだが建材部門の縮小で使わなくなっていた。建物は老朽化が進み、雨漏りもして放置すると危険だとして解体することを決めた。

 館内には、2台の映写機のほ…

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