若くて貧乏で仲間がいて(小原篤のアニマゲ丼)

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 ピンスクリーンのジャック・ドルーアン、砂のキャロライン・リーフ、ビーズのイシュ・パテル。ご存じない方には何かの呪文のようですが、1970年代にカナダ国立映画制作庁(NFB=ナショナル・フィルム・ボード・オブ・カナダ)で短編アニメーションの歴史的傑作を世に送り出した作家とその技法(素材)です。

 そのパテルさんが来日し、3月10日に自作の上映と解説をする講演を行ったので、取材してきました。作品もレジェンドなら、作家もレジェンドです。冒頭に挙げた作家3人はいずれも40年代生まれ。ドルーアンさんの使うピンスクリーンは少々特殊な装置ですが(でも素材は単なるピン)、リーフさんはガラス板の上に砂で絵を描き、下から光を当てて撮影する手法(いわば砂による影絵)。パテルさんは、おびただしい数のビーズを黒い厚紙に並べて動かしたり、下から光を当てたガラス板に薄く粘土を伸ばして絵を描いたり(つまり粘土による影絵)。身近な素材、斬新な技法、高い完成度がその特徴なのです。

 「あの時代のNFBには、新たな技法を開拓しようという機運があったのですか?」。自身もNFBで「マイブリッジの糸」(2011年)を作ったアニメーション作家・山村浩二さんが、パテルさんに講演で質問しました。

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 「確かにそういう時代でした…

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