ボーロ ボーロ ボロ 毛虫の子(小原篤のアニマゲ丼)

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 完成しました宮崎駿監督(77)最新作「毛虫のボロ」。東京の「三鷹の森ジブリ美術館」のみで上映されるスタジオジブリ制作オリジナル短編シリーズの10作目です。21日から始まる上映に先立ち、同館で行われたマスコミ向け試写会を見てきました。重度の虫嫌いの人は「ウゲエ!」となるかもしれないムシムシ大行進の連打ですが、「極小の虫から見た世界」の描写はユニーク。でも、ちょっとおとなしくおさまってしまった気もします。もっと暴れてほしかったのに。ネタバレありで、ご紹介します。

 長さは14分20秒。CGは使っていますが、見た目の印象は今までのジブリアニメとそんなに変わりません。手描きがメインです。タマゴの切れ目から初めて外の世界をのぞくボロの主観ショットから映画はスタート。夜の空気の中を深海魚のようなフシギな生き物が泳いでいる(やがて消える)という、宮崎さんらしいイマジネーションあふれる光景のあと、ヨチヨチ歩きのボロがボロギクの葉っぱの先へ進んでいくと、透明なゼリーっぽい立方体がゆらゆら飛んできます。

 同館ギャラリーの展示パネルの解説にありましたが、これは「空気の結晶」。続けて黄金色に透けているアメか何かのような棒が、何本もボロに向かって飛んできます。これは「朝の光」。その1本がボロの体にどーん!とぶつかって、粘りけのある光の棒は裂けて散っていきます。「1ミリにも満たない毛虫の赤ちゃん」からは、空気もゼリーのようなおいしそうなツブになって見え、草のすき間から差し込んでくる朝日は光の棒に見えるのではないか、という宮崎さんの想像から生まれました。これは素晴らしい。

 そのウットリする美しさと対…

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