(ナガサキノート)救えなかった命、罪悪感は今も

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田部愛・25歳
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成田豊太郎さん(1929年生まれ)

 のさり。熊本の方言で、天命や「天から与えられたもの」を意味する。熊本市中央区国府3丁目で暮らす成田豊太郎(なりたとよたろう)さん(88)が幼い頃からよく耳にしたこの言葉は、自身の人生観にもつながっているという。

ナガサキノートとは…

「ナガサキノート」は、朝日新聞長崎県内版で2008年8月に始まり、2017年1月に連載3000回を超えました。被爆者一人ひとりの人生を、1日に400字ほどの小さな記事で数回から十数回積み重ねて描きます。毎日休むことなく載せ、今も載らない日はありません。デジタル版ではシリーズごとにまとめてお届けします。

 長崎に移って間もない16歳の時、動員先の三菱兵器茂里町工場で被爆した。爆心地から約1・2キロ。「あの時、一回死んだのも同じ。自分が生き残ったのも『のさり』と言えるかな」。周囲には亡くなった人もいたが、成田さんに大きなけがはなかった。

 しかし、心には深い傷が残った。工場から逃げたとき、職場にいた女性や、道ばたの赤ちゃんとその母親を助けられなかったことを今も悔いている。

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 取材中、時々おちゃめな冗談…

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