ひとりぼっちがひとりぼっちと出会ったか(小原篤のアニマゲ丼)

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 脚本家・岡田麿里さんが初めて監督に挑んだ注目の長編アニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」が24日公開されました。私の目には、いい意味でも悪い意味でも「ひっかかり」の多い作品と映りました。強く引きつけられるけれど「おっと!」とつまずきそうにもなる。岡田監督にお話をうかがって疑問が解けたところもあるので、それも交えて読み解いてみようと思います。ネタバレです。

 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」などの脚本で知られる岡田さんが、「true tears」「花咲くいろは」などで岡田さんを起用してきた制作会社P.A.WORKS堀川憲司社長の「100%の岡田麿里が見てみたい」というラブコールを受けて、オリジナル脚本を書き自ら監督することを決意。堀川さん自らプロデューサーとなり作画から音響まで盤石の布陣を敷いて出来上がったのは、西欧風の異世界を舞台にした壮麗なファンタジーでした。

 10代半ばで外見の成長が止まり数百年を生きる「イオルフの民」に生まれた少女マキアが主人公。「別れの一族」と呼ばれる彼らの隠れ里が、長命の血を求める強国メザーテの軍に襲われ壊滅。イオルフで一番の美女レイリアは連れ去られ、マキアが思いを寄せていた少年クリムは行方不明。生き延びて独り森をさまよっていたマキアは、両親を殺された赤子を拾い、エリアルと名づける。「外の世界」で母として生きようとするマキアと、少年に成長していくエリアル。流れる時間の違いにより、2人の思いはすれ違っていく、という物語。

 イオルフの里は、雪をいただ…

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