草なぎさん、印象に残る台詞は 朝日新聞襲撃事件ドラマ

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聞き手・滝沢文那
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 27日に放送されるNHKスペシャル「未解決事件」では、1987年の憲法記念日に記者2人が殺傷された朝日新聞阪神支局襲撃事件など一連の「赤報隊事件」を実録ドラマ化。朝日新聞特命取材班で事件を追い続けた記者を演じる草彅剛さん(43)が、単独取材に答えた。ジャニーズ事務所を退所後、初の主演ドラマに、「僕に課せられた役なのかな」と演じる意義を見いだしたという。

朝日新聞襲撃事件とは

1987年5月3日午後8時15分ごろ、朝日新聞阪神支局に目出し帽の男が押し入り、犬飼兵衛記者と小尻知博記者に無言で散弾銃を発射し立ち去った。小尻記者は4日未明に死亡。東京本社銃撃、名古屋本社寮襲撃、静岡支局爆破未遂も続き「赤報隊」を名乗る声明文などが届いた。一連の事件は未解決のまま2003年3月までに公訴時効が成立した。

 ――記者役を演じて、どんなことを考えましたか。

 発生当時は中学生で、事件についてあまり知りませんでした。当時の実際の映像とか見ると少し思い出したり、あまりニュースに関心がなかった自分が恥ずかしく思えてきたり。すごく複雑な気持ちでした。小尻知博さん(阪神支局で散弾銃で撃たれて死去)やご遺族、僕が演じた樋田毅さん(昨年退職)も含め大変な思いをした人がいる題材。一生懸命演じなきゃいけない。

 ――実際の事件ならではのリアリティーも感じたと聞きました。

 ドラマチックに解決するわけではなくて、犯人がなかなか見えてこないところとか、どこに向けて感情を怒りとか悔しさをぶつけていいかわからないところがありました。

 見えない大きな闇に立ち向かう。今にもつながっている社会の一つの事件なんだなと、印象深かった。朝日新聞のプライドと意地みたいなところが、ドラマとして考えてもリアリティーがありました。事件に翻弄(ほんろう)されていくんだけど、負けない。30年前に起きた事件だけど、今に通ずる、むしろリアルタイムの事件なんだなって。

 撮り終えたとき、みんなが考えないといけない、もっともっと身近なことなんだなとか、そんな印象がありました。

 ――朝日新聞は、社会全体の問題だととらえて報じてきました。

 一番印象に残っているせりふは、樋田さんが取材相手に対して正義とは何かを説く部分です。「やっぱり言論に対しては言論で戦うべきじゃないですか」「どんな形であれ、人を銃で撃ち殺した、それは正義だという赤報隊は違う」と。メッセージとして一番伝えないといけないところだと思ったので、とても力を入れたシーンです。そのせりふを言うためのドラマなのかなって思いました。

 どんなことがあれ、暴力やテロ、人が血を流すのはいけない。当たり前のことだけど、すごく難しい。みんなが考えていかないといけない。だから、樋田さんの役は共感できました。

 ――テロや暴力はなくなりません。

 今回のドラマは、未解決事件で簡単に解決できることじゃない。だけど、見えない敵に対して負けない人間の姿みたいなものを映し出して、見ている人が何か感じてくれるかななんて思いながら、一生懸命、作品を作りました。

 ――言論の状況もネットによって変わっています。

 昨年SNSやり始めて、このドラマ撮っていたこともあって、僕の中ではタイムリーだった。いろんな意見があるからね。正しいことって、その人が正しいと思えば、正しくないこともその人の中で正しかったりする。100人いたら100通りの考えがある。

僕は楽しい、仲間がいるから

 ――草彅さんの実感は。

 僕は楽しい。それは仲間がい…

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