(京の隠れ里に住んで)しめ縄作りの技、移住者も受け継ぐ
京都市最北端にある久多(くた)。中心部から車で約1時間、山々に囲まれた約90人の小さな集落です。いよいよ年の瀬。12月20日、地元の田んぼで刈り取った稲わらを使った、お正月のしめ縄作りの催しがありました。
わらを整える準備から
会場は、旧久多小・中学校の講堂(兼体育館)。床には長さ約90メートル、直径7~8センチほどの稲わら束があちこちに積まれていました。
山村の久多では、米作りでできた稲わらを使い、わらじ作りなどを家の仕事としてきた長い歴史があります。私たち移住者は、お年寄りら熟練の方々の手元を見ながらの作業です。
まず、稲わらの束をすき、整える作業からスタート。根元から10~5センチぐらいのところに指を入れ、不要な下の方の葉を落とします。昔ながらの手仕事に詳しい常本治さん(62)は「あまり上の方からすきすぎると、弱くなってしまうんで」。加減が大事なようです。
稲わらの束がすっきりしたら、「つちのこ」と呼ぶ木の槌(つち)でたたき、扱いやすくします。たたいた後のわらを触った参加者から「むっちゃ、なめらかやな!」という驚きの声が。辺りには、わらの香ばしい香りが漂いました。
この日はわらをコンクリートブロックの上に置いてたたきましたが、常本さんによると、わら打ちは石の上ですることが多く、古い家や納屋には土間などの一角に丸い石が埋め込まれているそうです。そういえば、我が家の土間にも用途の分からない丸い石が……やっとなぞが解けました。
作ったのは、エビのように反った大きめのしめ縄や、7本、5本、3本とわらを編み込んでいく小ぶりの飾り、三つ編み型(三つ組みと呼び、神棚に飾る)など様々。家によって作り方も若干違います。
エビの形のしめ縄はまず、わら束の一方の端を結んでまとめた上で、三つの小束に分けます。そのうちの2束をそれぞれ時計回りにねじりながら縄にし、途中から残りの1束も合わせてねじり、1本の縄に仕上げます。途中、短いわらを入れてボリュームアップも。慣れない作業に初心者は皆、悪戦苦闘。でも、最後は周りの人に手伝ってもらって形にしていました。
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