城や寺の「うぐいす張り」、実は「忍び返し」ではない?
岡田匠
敵の侵入を知らせるためと言われてきた「うぐいす張り」は長い年月がたって金具が緩んだことが原因だった。京都・知恩院では修理したことで鳴っていた廊下が鳴らなくなり、老朽化によって鳴っていなかった廊下が鳴るようになった。
浄土宗総本山知恩院や世界遺産・二条城(いずれも京都市)で知られる「うぐいす張り」。廊下を歩くとキュッキュッと音が鳴るため、「忍び返し」とも言われ、侵入者を知らせるための工夫とされてきた。だが、その説に疑問符がついているという。
「平成の大修理」が進む知恩院。江戸前期にできた御影堂(みえいどう、国宝)など建物四つをつなぐ廊下(約550メートル)が、うぐいす張りだ。案内板で「侵入者を防ぐための工夫を凝らしたもので(中略)長さも音色も日本一」と説明している。
だが、建物の一つは2011年に修理を終えて以降、廊下を歩いても音が鳴らなくなった。一方、別の場所にある阿弥陀堂はうぐいす張りと呼ばれていなかったが、再建から100年余りたった近年、音が出るようになった。
音の原因は、床板を固定する金具「目かすがい」と釘にある。
建築当初、金具は釘でしっか…
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