愛知)大学生の力、防犯に 人口急増の街の試み

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【動画】愛知県みよし市が作ったPR動画「ビミョーなまち」編=みよし市提供
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 愛知県みよし市の住宅街では毎週、東海学園大学の学生が、小学生の下校で付き添いをしている。今年で7年目。ボランティアとして欠かすことなく続けている。「横のつながりが希薄になりがち」と言われる人口急増地域で、街の防犯活動を学生が担うという試みは定着している。

下校見守り・催し手伝い

 みよし市の名鉄三好ケ丘(みよしがおか)駅に、ほど近い市立三好丘小学校(児童数553人)。毎週水曜と金曜の午後3時ごろ、東海学園大学の学生17人前後が集まってくる。TOPS(トップス)と呼ばれるメンバーで、そろいの緑色のベストを着て、「パトロール中」の腕章を巻いている。

 1年生約80人が下校を始めると、学生たちも付き添った。車道に飛び出しそうになった子どもを止める一方、おしゃべりの相手もする。2階建ての住宅が並ぶ通りや、5~7階建てのマンションの脇を抜けていく。

 子どもが分かれていく度に学生たちもついていく。最後、1人になった子どもの家の前まで送り届けたところで終わり。後は帰宅したり、部活動に向かったりする。

 2年の松久裕稀(ゆうき)さん(19)は付き添いを始めて1年。「(子どもの)親が『ありがとう』と言ってくれるので励みになっています」。舞田起希(たつき)さん(20)は「地味な活動ですが、こうして続けていくことで、『この街は犯罪がしにくい所』と思われるようになってくれればいいと思っています」と話す。

 トップスは、同大経営学部・加藤実教授のゼミに所属する学生52人で構成されている。木曜日には黒笹小学校にも行っているので、各人が毎週1度は付き添いの活動にあたることになる。

 三好丘小学校の山内陽二校長は「子どもを犯罪、事故から守るには大人の目が頼み。学生が引き受けてくれて大変ありがたい」と評価する。

 大学がある北部地域は、南北10キロにわたる、みよし市の中でも急速に人口集中が進む。1980年当時、人口比で全体の25%だったのが今や52%に達する。

 加藤教授は2004年、同大に着任した。当初、新しい街特有の、地域に根ざした防犯、防災組織がないことが気になっていた。まずゼミの学生で、災害時に出動する消防団を結成した。小学生の下校の付き添いも始めた。活動が本格化したのは11年4月から。今では地元行政区が開くイベントの手伝いに学生を派遣するなど地域への貢献、結びつきを強めている。

 学生の単位の取得にはつながらない。それでも加藤教授は「若いうちにこういった地域に溶け込む活動を続けることで、就職をしても社会に目を向けてくれるようになる。学生自身にとって確実にプラスになる」と話す。

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