背中の大やけど、非核の覚悟 谷口さん「どこでも脱ぐ」

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【動画】入院中の谷口稜曄さんが核兵器禁止条約の採択について語るビデオメッセージ=長崎原爆被災者協議会提供

 長崎の原爆で背中一面に大やけどを負いながら、命の限り核兵器廃絶を訴え続けた谷口稜曄(すみてる)さん(88)が30日、亡くなった。国内外で常に核廃絶運動の先頭に立ってきた被爆者の一人。その志を知る人たちは、谷口さんが願った「核なき世界」の実現を誓った。

 29日夕、長崎原爆被災者協議会(被災協)の横山照子副会長(76)と柿田富美枝事務局長(63)は谷口さんを病院に見舞った。ベッドに横たわった状態だったが、穏やかな表情で目を開け、意識ははっきりとしていたという。

 横山さんは、被災協会長の谷口さんと50年以上ともに活動してきた。「核兵器禁止条約が実効性のあるものになるためには、彼の力が必要だった」と話し、「『自分の背中が核廃絶に必要なら、どこでも脱ぐよ』と強い覚悟をもとにがんばってこられた」。

 原爆写真の収集・調査に長年携わり、今月9日の長崎市の平和祈念式典で、被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた深堀好敏さん(88)は谷口さんと同い年。「同志がひとり亡くなった」と惜しんだ。

 「自分は1回死んだ。生きているのが不思議」と谷口さんから聞いたという深堀さん。「第一線で活動していた被爆者がだんだん少なくなってきた。もう少し自分もがんばらないと」と話した。

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