途切れぬ6400億粒の巨大砂時計 研究重ね1年を計る

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文・寺尾佳恵 写真・上田幸一
【動画】仁摩サンドミュージアムにある1年計「砂暦」=寺尾佳恵撮影
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 「時間」を意識するのはどんなときだろうか。時計は家や職場の壁や机、腕、ポケットに入れた携帯電話でも時間を刻んでいる。日常生活で確認するのは、時間刻みか分刻み、場合によっては秒刻みだが、1年という単位で時を刻んでいる時計があると聞き、現地を訪れた。

時紀行

 時を「刻む」というより、「紡ぐ」と言うべきか。砂がまるで糸のように切れ目なく落ちていく。ピラミッドの形をしたガラス張りの屋根に囲まれた、ひょうたん形の巨大な砂時計。島根県大田市の砂の博物館「仁摩(にま)サンドミュージアム」にある1年計「砂暦(すなごよみ)」だ。

 全長5・2メートル、直径1メートル。1トンの砂が直径0・84ミリのノズルを通り、1秒に0・032グラムずつ1年かけて落ちる。

 同市仁摩町には、石英質の砂を多く含み、歩くと「キュッ、キュッ」と音がする日本三大鳴き砂(鳴り砂)浜のひとつ「琴ケ浜」がある。砂暦は1991年、ふるさと創生事業の一環で作られた。設計したのは当時同志社大学教授で鳴き砂研究の第一人者だった故三輪茂雄さん。下準備のため10日計を作り、4年間研究を重ねた。

 ただ、琴ケ浜の砂は粒が大きすぎて、砂暦には山形県飯豊町(いいでまち)遅谷の鳴き砂が使われた。粒の大きさは0・125ミリ、数は推計6400億粒。落ちる量を一定に保つためコンピューターで制御している。

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 時間は目には見えない。だが…

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