(@モスクワ)ロシアの鉄道博物館、五つの楽しみ方

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【動画】世界有数の鉄道大国ロシアで近年、鉄道博物館の整備が進んでいる=中川仁樹撮影
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特派員リポート 中川仁樹(ウラジオストク支局長)

 世界有数の鉄道大国ロシア。世界最長9288キロを1週間で駆け抜けるシベリア鉄道の旅など、鉄道好きの「鉄ちゃん」には憧れの存在でもある。ただロシアの鉄道の楽しみ方は、「乗り鉄」や「撮り鉄」だけじゃない。最近、注目を集めているのが鉄道博物館だ。ロシア鉄道が着々と整備を進めており、日本の鉄道博物館とはひと味違った魅力がある。ロシアの鉄道博物館の五つの楽しみ方を紹介する。

巨大SLに迫れる

 入り口を抜けると、出迎えてくれるのは緑の巨大な蒸気機関車(SL)だ。先頭には旧ソ連で使われたことを示す大きな赤い星のマークが誇らしげに飾られている。隣の黒いSLからは「プシュッ、プシュッ」と蒸気が吹き出る音が続く。その奥には、SLの時代によく使われた扇形の機関車格納庫と、機関車の向きを変える転車台があり、何台ものSLが並んでいた。

 モスクワ市の「ポドモスコフナヤ蒸気機関車庫コンプレックス」。2015年7月にオープンしたばかりの新しい博物館は、20世紀初めから実際に使われていた車庫を活用し、当時の雰囲気のままに線路上に停車しているSLを楽しめる。古いSLを再び動けるようにする「レストア」にも力を入れており、現在、16両のSLが走れる状態だという。いずれも赤い星が先頭に飾られている。

 ガイドの男性は「ここは、まさに『生きた博物館』。懐かしいソ連時代のSLを見ようと、ロシアだけでなく外国からも子供や大人が訪れている」と話す。

 最初の巨大なSLは「П(ペー)36」。1950年代に251両が製造されたソ連最後の旅客用SLだ。Пはロシア語の「Победа」(勝利)の略。石炭と水を搭載する炭水車を含めた全長は約30メートルと、旅客用で日本最大のC62形の1.5倍近い。30トンの石炭を搭載し、最高出力も3000馬力と圧倒的な力強さを誇る。それぞれC62形の3倍、約2倍だ。その抜きんでた存在感から「将軍」の異名を持ち、いまも根強い人気を誇る。博物館には少なくとも4両があった。

 ユニークなのが、日頃は見る…

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