カルトとケルトとエッフェル塔(小原篤のアニマゲ丼)

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 妙ちきりんなタイトルをつけてしまいましたが、「アニメ映画で世界を味わおう」という至極平和な内容です。公開中の「ブレンダンとケルズの秘密」はアイルランド、12日公開の「フェリシーと夢のトウシューズ」はフランス、9月30日公開の「ソウル・ステーション/パンデミック」と10月21日公開の「我は神なり」は韓国。それぞれのお国柄が出ておりまして、例えれば爽やかな薫りとキレのアイリッシュウイスキー、甘ーくてカラフルみんな大好きマカロン、内臓まで悲鳴をあげる辛口チゲ、といった趣です。

 アザラシの妖精の血を引いたかわいい妹のために奮闘する兄をアイルランドのトム・ムーア監督が描いた「俺の妹がこんなにアザラシなわけがない。」――じゃなかった、「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」が昨年公開されましたが、そのムーア監督が2009年に作った長編デビュー作がこの「ブレンダンとケルズの秘密」です。

 アイルランドの神話や伝承を基にした「ソング・オブ~」ではケルト文化の渦巻き文様が印象的に画面を彩っていましたが、「ブレンダン」でも渦巻き文様は大活躍。9世紀にアイルランドの修道士が作った豪華な装飾の福音書で、ケルト美術の最高峰とされる国宝「ケルズの書」を巡る物語ということもあり、映画はより装飾性と様式美を高めた映像になっています。基調はアイルランドのシンボルカラーである緑で、深緑からライトグリーンまで多種多様なグラデーションにより格調高い透明感が生まれ、すがすがしい薫風がスクリーンから吹いてくるようです。

 キャラクターのデザインもま…

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