怪物と皮肉屋のパレード(小原篤のアニマゲ丼)

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 私が通っている近所のスーパーは野菜売り場でいつも「あさごはんマーチ」をエンドレスで流していて、その度にNHK「おかあさんといっしょ」で見た山村浩二さんのアニメーションが脳内再生されてしまうのですが、それはさておき、日本を代表するアニメーション作家である山村さんの新作「サティの『パラード』」(2016年)をメインとした最近の短編9本を上映する「山村浩二 右目と左目でみる夢」が8月5日から東京・渋谷のユーロスペースで始まるので、インタビューをしてきました。

 これまでの代表作とされる「頭山」(02年)、「カフカ 田舎医者」(07年)、「マイブリッジの糸」(11年)と比べると、「サティの『パラード』」は軽やかで緩やかで伸びやか。濃厚こってりソースから、ハーブの香りと爽やかな酸味の利いたヌーベル・キュイジーヌあっさり味へ(料理の比喩はテキトーに聞き流して下さい)。2010年代の作品からなる今回の9作全体を見ても、物語性が薄めで、映像と音楽の戯れといった趣です。

 「ここ5、6年の傾向としてそういうものが多かったんだと、並べてみて改めて気づきました」と山村さん。「使っている映像言語にしても音楽にしても、カチッとした劇映画的な作り方がつまらなくなってきた。飽きてきたのかな。より創作の自由度を求めているのか、既存のフォーマットにとらわれたくないという思いがある。そうは言っても、完全な自由というのはなかなか得られないものですが」

 「サティの『パラード』」は…

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