神さまの奇妙な食べもの(小原篤のアニマゲ丼)

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 「ジブリ飯」なる言葉まで生んだジブリアニメの食事場面の魅力を解説する「三鷹の森ジブリ美術館」企画展「食べるを描く。」をご紹介しようと思うのですが、その前に、前回の本欄タイトル「ジブリが飯を描くように、新海誠は街を描く」とはいかなる意なのか、説明しておきます。

 二つをつなぐキーワードは「シズル感」。語感があまり好きではないし意味がやや広がり過ぎてる気がするので自分の文章でこれまで使ったことはありませんでしたが、ほかにぴたっと来る言葉がないのでしょうがありません。ちょうど「新海誠展―『ほしのこえ』から『君の名は。』まで―」(静岡県三島市大岡信ことば館で開催中)の公式図録に、アニメ・特撮研究家の氷川竜介さんが解説を寄せておりまして、光の繊細で複雑な表現によって「新海作品の万物には『シズル感』が宿っている」と書いています。

 私の理解では、「sizzle」とは本来、油で揚げたりフライパンで焼いたりした時の「ジュージューと音をたてる」という意味で、広告業界でこれが転じて「食べ物のおいしそうな感じ」全般を「シズル感」と呼ぶようになったようで、弊紙記事データベースで検索すると1992年が初出でした。そして使用範囲は食べものを超えて拡大し、昨年のある紙面では政治のリーダーに対して「シズル感(その魅力が見る者をそそる状態)」という表現が使われていました。

 山や湖、高層ビル群から電車…

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