西成を生きた教師、映画に 「じゃりン子チエ」も一役

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辻村周次郎
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 1980年代、差別や貧困の中で荒れる生徒たちと正面から向き合い、時にぶつかり合った教師がいた。映画「かば―西成を生きた教師と生徒ら―」のパイロット版が27日と28日、大阪市内で公開される。本編の制作に向け、広く資金の寄付を募っていくという。

 「世の中の矛盾が集まったかのような街が……」

 大阪・日本橋のレコーディングスタジオで8日、ナレーションが収録された。大阪が舞台のアニメ「じゃりン子チエ」の声優でも知られる作家中山千夏(なかやまちなつ)さん(68)だ。ブース真ん中のマイクの前に座り、流暢(りゅうちょう)な関西弁を吹き込んでいく。

 「何だか面白そう」。中山さんは昨年9月、パイロット版の出演者を通じて映画の存在を知った。川本貴弘(かわもとたかひろ)監督(43)からナレーションを頼まれ、快諾した。

 映画は、大阪市西成区の中学校がモデル。同和問題を抱え、在日韓国・朝鮮人の世帯も多い。差別や貧困、家庭での複雑な事情。校内暴力が横行し、シンナーにおぼれる生徒もいた。

 パイロット版では、新任の女性教師が生徒との接し方に悩み、自信を失っていく。そんな時、先輩の「かば先生」から言葉をかけられる。「今、子どもらは先生を試しとるんや。ただ教師と生徒の関係ではアカンねん」。荒々しくも、親身に向き合う先輩に励まされ、新任教師は、生徒の閉ざされた心に立ち向かう。

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