(京の隠れ里に住んで)一家で移住 かがやく春

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福野聡子
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 京都市最北端にある久多(くた)。山々に囲まれた約90人の小さな集落です。奥山にもようやく春が訪れました。子どもたちの新学期もスタート。今年は、地域おこし協力隊員の京都市版「北部山間かがやき隊員」が家族で移住し、農業の担い手づくりのための「米づくり体験農園」も開園。新たな風が吹く春となりました。

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 「京都市北部山間かがやき隊員」として久多にやってきたのは、南佳孝さん(33)。妻の美保さん(35)と7カ月の日々(ひび)ちゃんも一緒です。30代の赤ちゃん連れのご夫婦が久多に住むのは久しぶりのことで、美保さんは「(日々ちゃんを)だっこして散歩していると、皆さん、声をかけてこられます」と笑う。

 南さんは石川県白山市出身。20代の頃から地球温暖化問題に関心があり、進学した京都精華大では環境社会学科を専攻。自然食品販売会社でウェブデザインを担当していますが、「いつかは自分でお米を作ってみたい」との夢がありました。地域に住んで活性化に取り組む「かがやき隊員」の募集を知り、会社の仕事との関係で迷いましたが、美保さんの後押しもあって応募を決めたそうです。

 4月1日に大津市から京都市左京区に転入し、移住。市の非常勤嘱託員である「かがやき隊員」として久多や百井(大原)で週4日働き、週2日は街なかで会社員として働く「二足のわらじ」。久多では市民農園の整備や農家民宿のPR対策会議などに参加し、取材の日は、常本治さん(61)が育てる「北山友禅菊」の植え付けの手伝いに。今後は仕事の技術を生かし、7月30日に久多で開かれるイベントのHPもつくる予定です。

 久多への感想は「一言で言うと、ずっと暮らしたいところ」。きれいな水、澄んだ星空、カエルの合唱、車の少なさ、人の顔が見えること……。そして「年をとってもやることがある」暮らしを挙げます。

 「若い頃、生きている理由について悩んだこともありますが、ここには田んぼがあり、冬は雪かき。季節ごとの仕事が目の前にあり、シンプル」。念願の米作りは、今年、地域で始まる「米づくり体験農園」に参加し、周囲に学びながら自分のやり方を探していくそうです。

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