「外に出てごらん」言われた私、月を見て前向きになれた

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大岩ゆり
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小さないのち 大切な君

 岡山市で産婦人科のクリニックを営む上村茂仁医師(58)は年に約120回、地元の中学・高校で性教育の出前授業をしている。その際、「何でもいいから相談して」とメールなどの連絡先を生徒に伝える。約10年前、月経不順で診ていた患者の女子高生が自ら命を絶った。原因は今も分からない。「何かできなかったか」という後悔の思いなどから出前授業を始めた。

 「毎日、母親に言われるんです。お前の生きるお金が無駄だと」など、毎日100件ほど寄せられる相談には、深刻な悩みも少なくない。

 「死にたい」という訴えが来ると、上村さんはすぐに「だめだめだめ」「どうして?」「いまどこ?」と返信する。「僕とつながっているよ、とまず伝える。詳しいやりとりはその後でいいんです」

 中国地方に住む20代の女性も上村さんに助けられた一人だ。

 大学時代、進路などで意見が合わず、行動を束縛してくる父親や、後輩との人間関係に悩み、「私が生きている意味なんてないんじゃないか」と考えた。命を絶とうとしたことも。悩み相談ができるはずの「いのちの電話」に50回以上かけてもつながらず、見捨てられていると絶望しかけたとき、高校時代に受けた上村さんの出前授業を思い出した。

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 「死にたいんです」とメール…

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