「町おこしで万博は古臭い」 浦沢直樹が描いた夢と自虐

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聞き手・上田真由美
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漫画家・浦沢直樹さん(57)

 1970年の大阪万博の時、僕は10歳でした。僕は父に「行かねえよ。暑いだけだよ」と言われて行けず、とんでもなく落胆しました。あの騒ぎ、どう言えば伝わるんだろう。あの後に生まれた人が経験したことのない空気というか。とんでもない世界がやってくる感じ。

 あそこに時代の区切りが引かれている感じがするんです。あの頃って、ビートルズサイモン&ガーファンクルの解散とか、ジミ・ヘンドリックスの死とかロック界が激変した。学生運動も終わっていく。猥雑(わいざつ)な60年代が終わり、整理整頓された70年代が来る。古い時代が終わって、そこからが未来なんだと。

 僕が描いた「20世紀少年」は、10分の1くらいが自叙伝です。この漫画で、僕は、万博に行けなかったことで相変わらず夢を抱いている自分を自虐的に笑っているんです。あの万博は「人類の進歩と調和」を指し示したけど、進歩を夢見るってことが今となっては切ない感じがしますよね。

 もう1回万博をやろうとしているのが全く理解できない。万博のようなことをしないと、町おこしができないという発想なら古くさいですね。それに、今はネットでワンクリックすれば世界に「行ける」。感覚が変わっちゃってます。

 あえてやるなら、根底から考…

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