(京の隠れ里に住んで)渓流の女王を追いかけて

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 京都市中心部から車で約1時間、市最北端にある久多(くた)。山々に囲まれた、約90人の小さな集落です。この冬は大雪でしたが、3月に入り、雪解けが進んでいます。久多川やその支流で釣りを楽しむ人の姿も。狙うは、灰色の縞(しま)模様に鮮やかな朱色の斑点が散る「渓流の女王」。山里に春の訪れを告げるアマゴ解禁です。私も初めて釣りに挑戦しました。

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 久多川は、滋賀県京都府を流れる安曇(あど)川水系の一つ。久多漁協が管理し、アマゴの稚魚や成魚の放流もしています。漁協によると、年間のアマゴ放流量は550キロ。地元の「三軒屋養魚所」が卵から育てています。

澄んだ山水に育まれ

 「三軒屋養魚所」は、久多でも最奥の、人家が途切れた所にあります。運営している椎葉貴裕さん(45)によると、育てているのはアマゴ約7万匹。約200メートル先から冷たい山水を引いており、水槽などの消毒は「食べるものやから」と塩で。秋の産卵期に人工授精で増やしますが、模様や朱色の斑点がはっきりした魚などを選んで交配しているそうです。

 解禁前の2月25日、20センチほどに育った2年もののアマゴが放流されました。

「顔が見られたら」

 アマゴ解禁は3月4日の夜明けから。釣りをするには、遊漁券(年券6千円、日券は2500円=4月~9月は2千円)が必要です。まだ暗い午前4時、久多漁協のある建物に行ってみると、職員さんらは釣り人向けに販売するおにぎり作りで大忙し。手作りの「鹿かつサンド」や地元名物の「栃(とち)餅」も。

 午前4時半ごろになると、遊漁券を買いに来た釣り人たちが、ポイント探しの時間までストーブの前でひと息。京都市上京区の澤村誠一さん(67)は「釣りの季節の始まりなので、毎年来ています。アマゴの顔を1、2匹見られたら」と話していました。3・5メートルから4メートルのさおを使って狙うそうです。

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 旬を味わいたいと、私も渓流…

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