「うちが育児放棄」職員の生活犠牲に(児相の現場から)

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第6章「守るために」(1)

 「お母さんがごはんをつくる回数が減った。もっと作ってほしいけど、あんまり無理を言うとお母さんが困るから言わない」

 ワーカー(児童福祉司)のミエコ(仮名)は小学生の息子が書いた作文を読み、胸が張り裂けそうになった。

 もともとは保育士として働いていた。児童相談所(児相)の虐待対応チームに入って2年目の40代。10歳から18歳まで3人の子の母親でもある。

 児相は1日24時間、365日対応だ。児相が閉まる週末や祝日は、緊急対応する当番を決める。当番のワーカーは休日でも基本的には家にいて、いつ連絡があっても対応できるようにしている。

 最近、公用の携帯が鳴ると、子どもがびくっと反応するようになってしまった。母親が緊急で呼び出されることがわかっているからだ。

 平日も夜の9時、10時の帰宅はふつう。それから作り置きしておいたおかずと、ゆでたうどんで子どもたちと夕食ということも珍しくない。

 サッカーを習っている小学生の息子にたまには付き合おうと思っていたところ、夕方に虐待通報が入り、後ろ髪を引かれる思いで安全確認に向かったこともある。

 週2回は実家の母親に来てもらい、子どもたちの夕食の世話をしてもらっている。「ほとんどうちがネグレクトです」とミエコは言う。

 夜中や週末に虐待通報があれば、当番のワーカーは在宅中であってもすぐに飛び出して行かなくてはならない。子どもを守るという使命のため、多くのワーカーが自らの子育てなど家庭生活を犠牲にしながら仕事に臨んでいる。

 当番でない週末でも、仕事が…

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