夏目漱石「吾輩は猫である」177

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 「御話しって、どんな御話なの?」と妻君が聞きかけていると椽側(えんがわ)の方から、雪江さんの話し声をききつけて、三人の子供がどたばた茶の間へ乱入して来た。今までは竹垣(たけがき)の外の空地(あきち)へ出て遊んでいたものであろう。

 「あら雪江さんが来た」と二人の姉さんは嬉(うれ)しそうに大きな声を出す。妻君は「そんなに騒がないで、みんな静かにして御坐わりなさい。雪江さんが今面白い話をなさるところだから」と仕事を隅(すみ)へ片付ける。

 「雪江さん何の御話し、わた…

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